格安SIMはドコモやau、ソフトバンクと比べて月額料金が安く利用できます。格安SIMを利用する一番の理由は月額料金の安さでしょう。ではなぜ格安SIMは大手キャリアよりも安く通信サービスを提供できるのでしょうか。
この記事では元大手携帯キャリアスタッフが大手キャリアと比べて、格安SIMが安い理由を解説します。
格安SIMが安い理由は『徹底したコストの削減』
- 自社で回線を持たない
- 広告費や人件費の削減
- 無駄を省いたシンプルなプラン+有料オプション
自社で回線を持たない
格安SIMが大手キャリアに比べて安い一番の理由は自社で回線を持たないことにあります。ドコモやau、ソフトバンクなどの大手キャリアと格安SIMを取り扱うMVNOの業務形態の違いを見てきましょう。
- 大手キャリア:MNO(移動体通信事業者)
- 格安SIM:MVNO(仮想移動体通信事業者)
大手キャリアはMNO(移動体通信事業者)と呼ばれ、自社で通信事業のシステムを制作、運営をしています。
ドコモはドコモ、auはauの回線、基地局、アンテナ、電波塔など通信サービスに必要な施設を独自に所有しているということです。
一方で格安SIMを取り扱う会社はMVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれ、自社では通信施設を持たずドコモ、au、ソフトバンクなどの大手キャリアから回線を借りることで通信サービスを提供しています。
そのため、通信サービスのメンテナンスやトラブルに対する維持費が削減できるため、安く通信サービスを提供することができるのです。
広告費や人件費の削減
格安SIMは大手キャリアに比べて安い理由は広告費や人件費が削減されているからです。大手キャリアはテレビCMや新聞の折込チラシなどで大々的に広告を打ちます。街中や電車でも大手キャリアの広告を目にする機会も多いはずです。
目にする機会が多いということはそれだけ広告費にお金がかかっているということだと言えます。
一方で格安SIMはWeb上での広告がメインです。Web広告もお金がかかりますが、テレビCMや毎週のように入っている折込チラシに比べると広告費を削減できるのです。
また格安SIMは実店舗を持たないキャリアも多く人件費も削減しています。最近では格安SIMの実店舗も増えていますが、まだ数は少なく基本的には格安SIMのサービス提供はWeb上でやり取りがメインです。オンラインで申し込み、宅配で自宅にSIMカードが届けられるため、多くの実店舗を持つ大手キャリアよりも人件費を削減できます。
無駄を省いたシンプルなプラン+有料オプション
格安SIMは料金プランから無駄を省くことでお得な料金設定を実現しています。格安SIMはデータ通信に特化して発展したサービスのため、基本プランはデータ通信専用SIM、音声通話付きSIMなどシンプルな展開であることが多いです。月々のデータ容量によりプランが用意されています。
例えばLINEモバイルの場合だと以下の通りです。
SIMタイプ | データ容量 | 月額基本利用料 |
---|---|---|
データSIM (SMS付き) | 500MB | 月額600円 |
3GB | 月額980円 | |
6GB | 月額1,700円 | |
12GB | 月額2,700円 | |
音声通話SIM | 500MB | 月額1,100円 |
3GB | 月額1,480円 | |
6GB | 月額2,200円 | |
12GB | 月額3,200円 |
また必要なサービスは有料オプションとなっており、必要に応じてプランをカスタマイズできるようになっています。
LINEモバイルの場合だとデータフリーのオプションが月額280円から追加できます。LINEモバイルでは他にも多くのオプションを選択できます。
オプション | 内容 | 月額料金 |
---|---|---|
LINEデータフリー | LINE利用時のデータ通信量がゼロに。 | 月額0円 |
SNSデータフリー | LINE、Twitter、Facebook利用時の データ通信量がゼロに。 | 月額280円 |
SNS音楽データフリー | LINE、Twitter、Facebook、Instagram、LINE MUSIC、 Spotify、AWA利用時のデータ通信量がゼロに。 | 月額480円 |
このように格安SIMは無駄を省いたシンプルな料金プランであり、必要なサービスは有料オプションにすることで大手キャリアよりも基本使用料を安くサービスを提供できるのです。
格安SIMを利用するとスマホの端末代も安くできる
格安SIMを利用することで月額の利用料金だけではなく、スマホの端末代も大手キャリアより安くすることができます。
なぜなら、格安SIMを取り扱うMVNOは自社でスマホ本体を開発していないことが多いからです。
大手キャリアはスマホ端末とSIMカードはセット
大手キャリアではスマホ本体とSIMカードはセットとして扱われており、自社でスマホの開発も行われています。
また大手キャリアで購入する端末は、購入したキャリアのSIMカードしか利用できないようにSIMロックがかかっています。
基本的にドコモのスマホはドコモの用意したSIMしか使えず、auスマホはauのSIMカード、ソフトバンクも同様のシステムが取られています。
そのため、大手キャリアではSIMカードのみを購入するという概念はなく、SIMカードと端末はセットで購入することになります。
格安SIMはSIMカードに特化したサービス形態
一方で格安SIMを取り扱うMVNOは、SIMカードに特化したサービスを提供しており、スマホ本体の開発をおこなっていることはほとんどありません。
大手キャリアであればキャリアで販売しているスマホ端末しか利用できませんが、格安SIMでは端末とSIMカードは別売りされていることが基本です。
そのため格安SIMはSIMロックが解除されている「SIMフリー」のスマホであれば、他社の格安スマホや中古のスマホでも利用できるため、スマホ端末代も抑えることができます。
ただし、購入した格安SIMがすべてのスマホで動作するかは保証されていないため、事前に対応端末を調べておく必要があります。
格安SIMとスマホのセット購入もお得
格安SIMとスマホのセット購入のプランを用意しているMVNOも多くなっているため、別々に用意するのが面倒な方や動作する対応機種か不安な方は、格安SIMと一緒に購入するのもおすすめです。
- UQ mobile
- Y!mobile
- BIGLOBEモバイル
- OCN モバイル ONE
- IIJmio
最近では多くのMVNOがSIMカードとスマホ本体のセットを用意しているので、初めてのスマホや乗り換えの際に機種変更したい方などは検討してみても良いかもしれません。
格安SIMは安いがデメリットはあるのか
格安SIMはコスト削減により低価格でサービスが提供できていることが分かりました。格安SIMは月額の利用料を安くできて便利なサービスですが、デメリットはないのでしょうか?ここからは少し格安SIMのデメリットを見ておきましょう。
結論、通信速度の不安定さとカスタマーサポートの面で格安SIMは大手キャリアよりも劣っている場合があります。
以下格安SIMのデメリットをまとめてみました。
- 回線と端末の選び方が初心者にはややこしい
- 初期設定を自分でおこなう必要がある
- 実店舗が少なくサポートが不十分
- 通信速度が不安定
- 通話料金が高くなる
- キャリアメールが使えない
- キャリア決済が使えない
- クレジットカード決済のみのサービスが多い
- テザリングが使えない場合がある
- LINEのID検索が使えない
- 契約後、数日間使えない期間がある
格安SIMのデメリットについての詳細は以下の記事をご覧ください。
格安SIMの利用で通信費を節約しよう
格安SIMが安い理由をおさらいします。
- 自社で回線を持たない
- 広告費や人件費の削減
- 無駄を省いたシンプルなプラン+有料オプション
格安SIMは徹底したコスト削減により、低価格でのサービスを提供を実現しています。安いからサービスが劣っているわけではありません。
格安SIMのデメリットと言えば、速度が不安定なこと、カスタマーサービスが薄いことがあげられますが、近年では格安SIMの利用者の急増とともに改善されつつあります。そのため、デメリットはそれほど気になることはありません。
現在、大手キャリアのスマホを利用されている方は、ぜひこの機会に格安SIMへの乗り換えを検討してみてはいかがでしょうか。